大村市(長崎)散策

2013年3月16日(土)



1泊2日の職場旅行で長崎へ。長崎には一昨年の夏に訪れて、あちこち見て回ったばかりなので、皆とは別行動で、長崎空港がある大村市を歩き回ることにした。

空港ターミナルビルの屋上には「長崎の鐘」。古くから海外との交流で育まれた風景、情緒、歴史、文化などに惹かれて、多くの人々が長崎を訪れるが、原爆により市民の3割以上が死亡するという壊滅的状態から復興し、繁栄を取り戻した土地であることを忘れてはならない。



長崎空港は、島を丸ごと転用したもの。空港の案内所のお姉さんに「橋を歩いて渡れますか?」と聞くと、「1kmはあると思いますがぁ・・・」と怪訝な表情。歩いて空港を出る人など滅多にいないということかもしれないが、こんな素晴らしい景色だ。是非とも渡ってみよう。



行ってみると、立派な歩道がついているじゃないか。車道との間にガードレールが無いのが、少々おっかないが、ガードレールが無い分、とても開放的で気分よく歩ける。途中、歩いている人には出会わなかったが、ジョギングをしている人とはすれ違った。



海中を覗きこむと、クラゲが多数見える。あまり気持ちのいい連中ではない・・・。



空港の対岸にある、天正遣欧少年使節の銅像。後ろにある船型のモニュメントや、前にある操舵輪が、4人の凛々しい若者の銅像を一層引き立てている。



大村は、キリシタン大名、大村純忠の本拠地。長崎港を開港したり、天正遣欧少年使節を派遣したりしたことで有名だ。キリスト教を熱心に奨励したため、当時、国内のキリシタンの半数にあたる6万人は大村領にいたという。

大村には、その後の悲惨なキリシタン弾圧の遺蹟が多数あるが、空港で入手した観光マップがショボすぎて、なかなか目的地に辿りつけない。幸い獄門所跡は何とか見つけることができた。



処刑されるキリシタンが、家族と最後の別れを惜しんだ場所だそうだ。



関西よりは幾分暖かいとは思っていたが、完全に春の陽気だ。白木蓮(かな?)が満開だ。



まともな地図が無いので、当然道に迷う。まともな地図があっても間違うのだから。なんと、最終目的地になっていた大村駅に、先にやってきてしまった・・・。お洒落な駅舎だ。



大村駅の近くの公園にも、「勇気ある4人の少年たち」と題された天正遣欧少年使節のモニュメントがある。しかし、その後の4人が、病死、殉教、棄教、国外追放、とバラバラの運命を辿ったことは、あまり語られていない。



旧円融寺庭園。 何百の石を取り入れた珍しい石組庭園だ。寺はその後、護国神社に変わったようで、斜面を利用した枯山水の庭園の手前には、戊辰戦争で亡くなった37人の大村藩士の墓石や、大平洋戦争などの忠魂碑などが設置されている。



大村湾に沿って、佐世保と諫早を結ぶJR大村線。のどかな単線だ。電化もされていない。



大村線から、それほど遠くない交差点に、妙なものを発見。どうやら腕木式信号機と呼ばれる、かつて鉄道に用いられていた信号機のようだ。腕木は無くなってしまったようだが、何故こんなところに据え付けられているのだろう・・・。



大村藩の本拠地、玖島城にやってきた。虎口をいくつか通り抜けて、天守閣があった本丸方向に上っていく。



玖島城は、明治初期の廃城され、今は桜の名所として有名な大村公園となっている。城内には、既に満開の桜も見られた。



天守閣跡にある大村神社。歴代大村藩主が祀られている神社だ。



戊辰戦争で戦死した「少年鼓手浜田勤吾」の銅像。当時15歳の浜田少年は官軍に属した大村藩の一員として奥羽諸藩の鎮圧に出征したものの、秋田角館で戦死。少年の襟に縫い込まれた母親の歌に感動した角館の方々により手厚く葬られたという。

これが縁となって、現在、大村市と角館市は、姉妹都市になっているのだが、会津藩のように攻め込まれた側だけではなく、圧倒的優位にあった官軍にも少年兵がいたことに驚く。



天守閣は遺棄されたが、石垣や城壁は、当時の姿を残しているようだ。



玖島城は、当時三方を海に囲まれた要害の地。しかも、このような急峻な石垣まで築いているのだから、簡単に攻め落とせるような気がしない。



玖島城をひと回りして、あらためて大村駅に戻る。このあたりの歩道は、黄色の着色がしてある。関西では緑色が多いだけに、とても新鮮に感じる。



あまり関西では見かけないポスターだ。はなわの「佐賀県」の歌詞に、「佐賀には鍵をかける習慣が無い」とあったが、大村もそんな感じなんだろうか。いい町なんだと感じる。ブラブラ歩いていると、挨拶してくれる人が少なくない。



大村は、城下町であるとともに、長崎街道の宿場町でもある。大村駅近くの商店街は、大村宿を前面に押し出している。



大村駅から、長崎に向けて約1時間の移動。各駅停車のディーゼル車だ。ロクな地図もないまま歩き回ったので、結構疲れた。帰宅してあらためて調べると、とんでもない遠回りを繰り返していたことが判る。



長崎の宿に到着。夕闇が迫る長崎の町並みがよく見える。



夕食は、職場の仲間と卓袱料理を堪能した。



まとめ


歩行距離   13~14km
所用時間   261分 (4時間21分) 
歩数      21800歩 (しっかり16900歩)